デイブ・スレピアンは定年退職を間近に控えており、アーロンの指導者であり共同研究者でもあった彼は、アーロンに自分のオフィスに来て好きな本を1冊選んで持って行っていいと伝えた。
デイブがまだ現役でいる間、アーロンは彼のオフィスに入って本を手に取る決心がつかなかった。
ある日、同僚が廊下でアーロンを見かけ、デイブが「全てを譲ることにした」と宣言し、誰でもオフィスに来て好きな本を1冊選んでいいと皆に伝えたと告げた。
本には「争奪戦」が起き、アーロンはついにデイブの申し出を受けるべきだと感じた。
デイブのオフィスに行くと、残っていた本はわずか数冊だった。その一つがゾンマーフェルトの『n次元幾何学』だった。
表紙の内側には「C.E.シャノン」という直筆のサインが記されていた!これはシャノンの所有していた本の写しであり、明らかにスレピアンを経てワイナーへと渡ったものだった。
この本が、nが無限大に向かうにつれて彼の有名な符号化定理へとつながったn次元幾何学に関する洞察をシャノンに与える上で役割を果たしたと推測するのは妥当である。
言い換えれば、これは情報理論の礎となったかもしれない宝物だったのだ!
IEEE Information Theory Society Newsletter December 2013 の The Historian’s Column より
https://www.itsoc.org/sites/default/files/2021-03/63nits04-DecWeb.pdf
応用数理の遊歩道(30)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bjsiam/12/3/12_KJ00005769012/_article/-char/ja
1974年,カリフォルニア大学バークレー校の修士課程の大学院生であったRalph Merkleは,指導教授の理解のない状態で孤立しながらも,一つの画期的なアイデアに到達した.
それは,盗聴されてもいい通信路を使って二つの参加者が安全に鍵を交換(共有)する方法(図1)についてのアイデアであった.
(中略)
Merkle の発見を 1974 年の段階で知っていた Hellman と Diffie は,その後研究を進め,ついに 1976 年,今日 DiffieHellman (DH) 鍵交換方式と呼ばれている方式を発見する.
彼らは,このアイデアと公開鍵暗号及びディジタル署名の概念とあわせた論文を IEEE の論文誌に投稿した.
この論文は,迅速に(投稿と同じ年に)1976 年に掲載され,現代暗号の誕生を告げる歴史的論文となる(2).
このような経緯により,多くの人は,Merkle の貢献を忘れが ちであるが,事情を熟知している Hellman だけは,いつも DH 鍵交換方式を Diffie-Hellman-Merkle (DHM) 鍵交換方式と呼んでいる.
鍵交換:現代暗号の誕生とその発展
https://www.jstage.jst.go.jp/article/essfr/1/4/1_4_4_70/_article/-char/ja/